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2025/12/05 更新

パワハラ・セクハラの講演をしました

  • コラム

 令和7年9月19日、「T&P CLUB」と題して、当事務所主催の法律講座を開催しました。「T&P」は、高階&パートナーズの頭文字をとりました。当事務所のお客様13社・団体から合計23人が参加されました。テーマは、「社内のパワハラ・セクハラにどう対処するか」で、使用者(会社側)の立場からのハラスメント対応についてお話しました。

 講演後の質疑応答では、パワハラ発言・セクハラ発言をする者(加害者)と被害者が話をする際に、加害者に無断で被害者がスマホ等で録音をしても良いのかという質問がありました。この点は、パワハラ・セクハラの発言があったことを証明する目的で無断で録音をすることは基本的に違法ではありませんし、その録音を裁判で証拠として使用することも通常可能です。

 これは、対面で会話している以上、その内容が第三者に伝わることは発言者も容認しており、発言内容の処分を相手方に委ねているとも評価できるためと考えられます。しかし、他方で、対面で会話している場面ではなく、例えば、休憩室での悪口を録音するために、その場にいないのに録音機をこっそりと休憩室に設置して録音した場合には、その録音は違法とされて民事訴訟でも証拠として使えない可能性があります。

 大阪地方裁判所令和5年12月7日判決は、ある従業員が他の従業員に悪口を言われたとして名誉毀損による損害賠償請求をした事案において、対面で悪口を無断で録音した録音記録を証拠とすることは信義則に反しないとして証拠採用し、悪口についての損害賠償請求を認めました。しかし、休憩室に録音機を仕掛けてこっそり録音した録音記録は、証拠とするのは信義則に反するとして証拠採用せず、悪口についての損害賠償請求を棄却しました。

 わかりやすくまとめれば、対面で会話している場面での無断録音は基本的に違法ではないが、その場にいないのに盗聴するのは問題があるということです。ハラスメント事案では、当該発言をしたか否かが問題になることが多いですが、適切な方法で証拠収集をすることが重要といえます。

 当事務所では、ハラスメント対策に限らず講演の依頼を受け付けていますので、弁護士による講演をお考えの際にはお声がけいただけると幸いです。(弁護士亀山元)

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